2005年の中国海軍特務偵察小組によるアメリカ籍のオイルリグ占拠は、日本に大衝撃を与えたが、防衛庁はただちに調査を開始していた。中国は、一部のならず者による暴動で、政府は関知しないと公式には言明していたが、IT革命以後、陸自内に設置されていたハッカー部隊の追求により、その嘘は明らかだった。このままでは中国の脅威が台湾だけでなく沖縄に及ぶ危険性を感じて、日本政府もようやく自衛隊に防衛出動を命じた。いち早く対応したのは海上自衛隊だった。海自は戦力の集中に心がけ、第一護衛群(旗艦は航空護衛艦あまぎ)を尖閣列島海域に派遣した。イージス艦、AWACSなど電子戦に不可欠な部隊はいうに及ばず、最新鋭の兵器を投入、中国の攻撃を待ち構えた。戦闘はアメリカの原潜が中国潜水艦を撃沈したことから開始された。だが、自衛隊の電子戦闘能力は、アメリカや中国の想像をはるかに越えていた。極東に吹き荒れた嵐の行方は…。日本の自衛隊の真実に迫る。軍事アナリスト高貫布士が描破する近未来超シミュレーション小説。