ついに作者が登場し、主人公と哲学問答。
前巻で描かれた、アキレスとアキレスの馬による「トロイ戦争の原因」に関する考察は本巻でも延々と続き、一向に出口が見えない。
と、そこに白い馬が現れ、ようやく物語は動き出す――かと思いきや、突然「作者特別回」が始まり、『別れる理由』という小説そのものについての考察がなされる。
しかし、主人公・前田永造が作者に「ねえ、小説家」と電話で語りかけ哲学問答を始めるなど、物語は再び混沌の世界に――。
文芸誌「群像」に150回にわたって連載された、小島信夫“執念の大作”の第5巻。当巻には第101話から第125話までを収録。