腕のよい蘭方医として知られ、ときに奉行所の検死もおこなう沢村伊織のもとへ、舞台道具屋の手代が駆けこんできた。
なんでも、店主の母が立ったまま苦悶の表情を浮かべて亡くなったらしく、その死因を調べてほしいという、複雑怪奇な依頼であった。
果たして人は立ったまま死ぬのか、また壮絶な最期を思わせる遺体は、なにを意味するのか……。
直接の死因についてはあたりをつけたものの、死にいたった状況は依然としてわからない。
そんな伊織のもとへ、死亡時刻の違う男女心中の検死という、これまた奇妙な事件が持ちこまれる。
頻発する怪事件を読み解く伊織が、最後にたどりついた真実とは!? 好評シリーズ・第十二弾!