浅草駒形堂近くに見世を構える「銭屋」は小間物類をはじめとして、さまざまな品を三十八文均一であきなうよろずやだ。だが、「銭屋」は見世先の雑多な品以外に、客の目には見えない品を裏であきなっていた。平生はあきなわれない「見えずの品」……それは、殺しだった。盗賊に一家を皆殺しにされた薬種問屋の次男が敵討ちを誓い「銭屋」につなぎを求めてきた。北町奉行所隠密廻り同心の沼上大蔵は「銭屋」のあるじ銀次らとともに、薬種問屋の復讐に手を貸すことにするが、その依頼には思いもよらぬからくりが隠されていた……。元盗賊の銀次を使い「銭屋」の面々とともに、北町隠密同心が江戸に跋扈するさまざまな悪を裁く、痛快時代活劇。