小町娘六花撰の浮世絵で評判の娘たちが五人、相次いで失踪した。いずれも外出先で忽然と消えており、巷では神隠しと噂されていた。北町奉行所が八方手を尽くす中、事件の目撃者、探索にあたっていた下っ引が続けざまに殺される。そして、さらに奉行所の威信を揺るがしたのは、中川で見つかった小町娘の一人・お富の亡骸だった。ひとり探索を外され、別の事件を追っていた定町廻り同心速水一魂だが、ひょんなことから神隠しの手掛かりが小梅村の花鳥茶屋(珍しい動植物を展示する見世物)にあることを掴む。しかもその茶屋の背後には、隠れ富と抜け荷を使った大がかりな企みが……。酔うほどに剣技が冴え渡る飲んべえ同心。その酔眼朦朧の探索行の顛末は?