天保の世、深刻な財政難に陥った幕府を立て直すべく、老中首座・水野忠邦は、“女で稼ぐ”ことを思いつく。それはすなわち、大奥の絶世の美女を世に送り、大尽に大金を払わせて妻合わせる、というものだった。売る側の女を大奥中臈・瀬浪が、買う側の男を寺社奉行配下与力・白河修理亮が選び、雑司ヶ谷の感応寺で引き合わせた。これまで、生臭坊主や検校、献残屋などが“客”となり、六万両ほどを上納している。だが、厄介な者が現れた。目付に抜擢された鳥居耀蔵が異常な清廉潔白ぶりを発揮、幕閣から庶民まで、厳しく締め付け始めたのだ。そして、監視の目は女中の外泊が多い大奥に。危機迫る感応寺の楽園……。果たして忠邦の決断は!?異色の時代官能シリーズ、波乱の最終巻!