朝はいつもぎりぎりの出仕、なにかと理由をつけて町の見まわりも怠けがち、果報は寝て待てを座右の銘にするという、なんともとぼけた侍、篠原潮。それでもなんとか南町奉行所の臨時廻りを罷免されないのは、ときおり見せる推理の冴えと剣の腕前で、難事件を解決に導いているためであった。そんな潮には、三人の妹たちがいる。紫乃、舞衣、小夜、それぞれに魅力ある器量よしの三姉妹は、ぐうたらな兄を助けるため、蕎麦の屋台をはじめたのだが……。屋台にともる人情の灯火が、さまざまな事件をとおして、人間のせつなさや怖さを照らし出す。じつは凄腕同心・篠原潮の人情裁き、大好評のシリーズ第二弾。