女教師・美津と過ごす妖しい放課後の秘め事。
昭和24年の春、真吾の通う高校は女学校と合併して共学になった。高校3年生となり、翌春に控えた卒業と大学入試が最重要事項ではあるものの、多くの男子学生と同様に、女生徒と縁ができることに仄かな期待も抱いていた。だが思いがけず、真吾の心をとらえたのは、女生徒ではなく新任教師の香原美津だった。ある日の放課後、野の道で偶然出会った美津と真吾は、急速に接近していく。社会人になった恋人・妙子への愛に変わりはなく、美津とは互いに“遊び”と割り切った関係ではあったが、これまでに出会った女性たちにはない、大学出のインテリ女性ならではの知的な雰囲気、成熟しきった女の魅力、そして欲望のままに肉体をぶつけてくる大胆さに、真吾はのめり込んでいく。教師と生徒であり、絶対に誰にも知られてはならないというスリルを味わいながら、二人は逢瀬を重ねる。一方、共学となった校内では、いくつもの恋の物語が生まれていた。秋も深まった頃、真吾はかつて一度だけ関係した女学生・安希子から意外な話を聞かされる。