人を寄せつけず、書物のみを心の友として暮らす北町奉行所の同心・末広喜十郎。まわりからは『ぼんくら』などと呼ばれ、変人あつかいであるが、こと事件の探索では思わぬ活躍を見せる。そんな喜十郎が一世一代の恋に落ちてしまったのが、一膳飯屋の女中・お松。ところがこのお松という娘、まことの素性は前将軍・徳川吉宗の実子であり、一橋家の姫さま。しかもいまのお松は、正体不明の敵に命を狙われている身で、とてものこと、喜十郎の好意に応えられる状況ではなかった……。愛する気持ちゆえ、みずから身を引こうとするお松の前に、魅力あふれる某藩の若さまが現れるのだが……。まさかの展開が見逃せない、人気シリーズ第五弾。