長屋住まいの天馬蔵之介は、三十路すぎにして用心棒で生計をたてる貧乏侍。うだつのあがらぬ平凡な中年男に見えるものの、その正体は、大身旗本五千石・篠田家の当主であった。この風変わりな殿さまが、わざわざ市井にくだったのには、もちろんそれなりのわけがある。同じく江戸の町に消えた、亡き妻の弟・長峰誠史郎の行方をつきとめるためであった。日々の仕事をこなしながらも、凄腕の用心棒・お凜の力も借り、着実に義弟の足取りをたどる蔵之介。だが、義弟失踪の裏には、悪党の強欲と、せつない遊女の恋模様が隠されていた。読めばわかる絶対のおもしろさ! 大好評シリーズの第三弾。