幕府の政庁が置かれ、天下の中枢であった江戸城本丸。広大無比な御殿の中は、縦横無尽に廊下が走り、無数の部屋が用意されていた。坊主衆はこの中を自由に行き来できる者たちであり、多くの大名はこれを頼りにしている。中でも坊主衆を束ねる同朋頭・藤田輝阿弥は、職務の特性から機密を得る機会も多く、その威光は幕閣以上とも言えた。徳川綱吉は、現大老・堀田正俊の力を借りて五代将軍に就任していたが昨今、二人の関係は冷めきっていた。そんな折、正俊と若年寄・稲葉正休が、河川工事発注の件で対立する。将軍の大老への恨み節を耳にした正休はついに覚悟。名刀・兼房を手に登城する。大事件勃発か!?輝阿弥の決断に徳川家の後世が託される、好評シリーズ、第二弾!