戦国時代、最強の協約と言われた「織田徳川同盟」。信長と家康は手を組んで天下統一へ邁進した。が、実はその百六十年後、江戸の町中でも同じ同盟が存在した。織田信弥と徳川吉宗──信長、家康の子孫であるふたりは紀州で知り合い、先祖に倣って師弟関係を結ぶ。信弥は浪人、吉宗は将軍となったが、江戸で再会した後もその間柄は変わらず、信弥の用心棒稼業に吉宗が手を貸しては、悪人退治に勤しんでいた。そんなある日、信弥にとって許し難き沙汰が起こる。同じ長屋に住み、日頃から昵懇にしている母子が拐かされたのだ。敵の狙いは分かっていた。己の命……。吉宗を伴う信弥は悲壮の決意を固める。天下無双、最強の剣が戦国の世からの因縁を断ち斬る、好評シリーズ第三弾!