山名新九郎はすでに二親もなく、十八歳ながら手代組頭の役目に就く下級御家人。気弱な性格が災いしてか、剣の道場では旗本の次男三男にいわれなく苛められる毎日だった。今日も剣術の稽古で打ち据えられたのみならず、神社の境内で待ち伏せされて殴る蹴るの暴行を受けた新九郎。だが、うちひしがれる新九郎の前に突如現われたのは、巫女姿の美しい女だった。怪我の手当てをされるうち、彼女の淫気に誘われて新九郎は初めての情交を体験してしまう。だが、摩利香と名乗った女はあやかし。人の快楽を食べて生きる淫鬼だったのだ。摩利香に教えられた情交の喜びにのめり込む新九郎。しかし、摩利香は次第にその本性を現わして…。