『結婚します』の作家が描く12人の女性像『結婚しません』と傑作『世相講談』13~35話など小説、エッセイ等103作品収録。
収録作品は、小説「結婚しません1 赤い大橋」(「婦人画報」1966年1月号)から、エッセイ「オバケだった実力日本一」(「東京中日新聞1967年12月25日)まで、1966~1967年の2年間に発表された小説、エッセイ等103作品を初出掲載順に収録。『結婚しません』は、「江分利満」シリーズを世に出し、作家・山口瞳誕生に一役買った「婦人画報」編集長・矢口純が、先に発行されて好評だった長編小説『結婚します』に目をつけ、「結婚は、結婚する当事者が確信をもって結婚を決意する時、適齢期を迎えるのである。私は『結婚します』の作家に、こうした12人の女性像を、12の短編小説にしてもらったことがある」と、あとがきで記した経緯で「婦人画報」に連載された作品で、高度成長期の世相や時代が映し出され、その中で翻弄されるBG(ビジネス・ガールの略)の恋愛観、結婚観が滲み出ている。
また、1965年から続く1話完結短篇小説「世相講談」は、当巻では「世相講談13 人生星取鏡」(「オール讀物」1966年1月号)から、「世相講談36 唐茄子屋」(「オール讀物」1967年12月号)まで24話が収録。単行本『世相講談』の推薦文で作家・吉行淳之介が「山口瞳は『庶民の味方』ではなくて、『庶民そのもの』のような人物である」と評したように、この作品には“山口瞳文学”の魅力が凝縮されている。
付録として、電子全集の総監修を務める、山口瞳の長男・山口正介が回想録、「草臥山房通信」(12)を寄稿。