両国広小路近く横山町で起きた、二八蕎麦屋台の付け火事件。柳橋の飲み屋「しづ」からの帰り道、現場に遭遇して火消しにあたった南町臨時廻り同心・鞠小路左近と大江伸吾は、そこで定町廻り同心・荻島慶四郎と出くわした。荻島は左近が定町廻りだった頃の同僚。だが、荻島との再会の直後からなぜか屋台の付け火は続発し、ついには焼け跡から屋台主の刺殺体が……。事件のたびに現れる、かつて昵懇だった同心。その不審な行動に不審を抱いた左近がとった策とは? 左近の秘められた過去が明らかになる「二八蕎麦」。食い道楽の会の仲間うちで起きた、やむなき殺人を描く表題作「はつもの食い」ほか、全三話を収録。書下ろし大好評シリーズ第三弾!