都賀藩の藩主、松平対馬守は、いささか無作法で型破りではあるものの、人情に厚い、まこと立派なお殿さま。以前の悪辣な性格はすっかり身をひそめ、いまや民や臣下に名君として慕われている。……ところがこのお殿さま、じつは真っ赤な偽者。その正体は、急死した対馬守の替え玉を務める小普請の御家人・松平玉三郎であった!必死に頼み込まれ、いやいや引き受けた大名暮らしだったが、自由奔放な玉三郎にしてみれば、とにかく窮屈。なにかと用を作っては市井に戻り、ふらふらと二重生活を楽しんでいる毎日であった。そんな暮らしのなかにも、さまざまな謎や事件が巻き起こり……!?