源義経の子孫を自称する美那渡藩主・小菅頼永の野望を、みごと打ち砕いた葵鯉之介。江戸に戻り、平穏な日々を過ごせるかにみえたが、そこに持ち上がったのは、嵐に遭い、房総に漂着したアメリカ国の難破船の問題であった。鎖国政策なれど、外国のすぐれた造船技術は見逃せない──幕府や薩摩藩の思惑が入り乱れるなか、アメリカ船員と心をかよわせた鯉之介に、ある願望と夢がわき起こった……。とはいえ、鯉之介の身分は、水戸藩主・徳川斉昭の弟にして現将軍・家斉の実子。みずからの夢と、奈々江との恋に悩みぬいた鯉之介は、ある策を胸に秘めて剛剣を振るう。大人気作、ついに完結!