東両国の外れにある古びた隠れ家。そこに住まうのは謎の浪人、徳山幻四郎。正体不明で毎日をふらりふらりと浮き草のように暮らしているが、じつはこの男、盗賊団の頭であり、笹島藩二万三千石の若さま。しかも、実父が十一代将軍・徳川家斉という、やんごとなき若侍であった。だがこの幻四郎、盗人といえど私利私欲のためにあらず。なんと正義のために盗みを働くという、風変わりな男である。各右衛門、助五郎、そして隠密の佐保といった凄腕とともに、市井のさまざまな事件を解決に導いていく。誰もが読みたかった時代ファン必読の、どこか懐かしくて新しい痛快時代小説!好評の第三弾。