船宿に居候する幸四郎は、ふらりふらりと毎日を遊び暮らす謎の浪人。高級な着物に旨い酒、浜吉なる得体の知れぬお供まで引き連れ、まこと奇っ怪な人物である。だが、この幸四郎の正体は、ある藩の大名──武家暮らしに嫌気がさし、市井にくだった本物のお殿さまであった。許婚の千佳姫や、腕っこきの目明かし・貫太郎の協力を得て、幸四郎はさまざまな難事件を解決していくのだが……。今回、その貫太郎の様子が、どこかおかしい。ぼんやりしては、思いつめたようにため息ばかり……。泣く子も黙る親分の、思いがけぬ純情と熱意に、さすがの殿さまもたじたじに!