東両国の釣り堀で日がな一日、糸を垂れる矢車真之介は、まわりから「若さま」と呼ばれる昼行灯の侍。矢場の女主人・お紺や、浅草を仕切るやくざの友七、連雀町の目明かし助蔵などに囲まれ、のどかな暮らしを謳歌していたが、持ち込まれる様々な事件が、真之介を危険な探索へと駆り立てていく。千住宿で起こる真之介の偽者騒ぎ、天眼通を使う修験者の失踪、芝居小屋の座主殺し、そして襲いくる謎の刺客……。頻発する騒動の裏には、もと伊達藩隠密である真之介の過去が関係していたのだが……。頭が切れて腕も立つ、風変わりな凄腕侍の活躍やいかに!?書き下ろし「外伝 ゆうがお」を収録した、超人気シリーズ新装版