「その、ありがと――おにーちゃん」。
「征服、という言葉の意味を知っているかい? 私のような異能力者が何百、何千、何万という軍勢となり都に攻め入り、圧倒的に暴力的に独断的に略奪する、ってことだ。……要するに、好き勝手やらせてもらうんだよ」
帝都を恐怖に陥れた墓場博士の予告通り、空飛ぶ城に乗って侵略者たちは現れた。“少年結社ウサギ団”。そのかわいらしい名前とは裏腹に、腐った身体でできたゾンビ集団が、帝都の道という道を覆い、ひとびとを、ぼくらを襲う。全力をふりしぼって縦横無尽に荊(いばら)を走らせるぼく。炎獄蝶を放ち、街ごと敵を火の海にする夕日ちゃん。一閃して数百のゾンビを薙ぎ払う桜下卿。巨大で凶悪な屍竜に立ち向かうは、紅葉操る電人“千手”……。戦闘に次ぐ戦闘のなかで、ぼくと夕日ちゃんは、けれど絆を確かめ合う。
「その、ありがと――おにーちゃん」。
さらなるスケールアップ、そして叙情。帝都系異能バトル第3弾!
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。