魔女の娘は世界の優しさと残酷さを知る。
それぞれが失った大切な人を生き返らせるため、旧ガルディア魔導帝国の皇都跡地を目指すネロとアーシェ。これまで城の外の世界を知らずに育ったアーシェには見るものすべてが新しい。ネロにはそんな子供っぽいアーシェが年上ながらも愛らしく思えた。夜には、一枚の毛布に二人でくるまって眠る。そんな時ネロは、アーシェが異性であることを意識せずにはいられなかった……。
“重罪人の息子”と“魔女の娘”として、国から追われる身である二人は、関所を迂回するため、危険と困難がつきまとう山岳地帯のルートへ。そこでネロとアーシェは、旅姿の青年ハンスと出会う。彼もまた街道を使わずに国境を越えようとする訳ありの人物だったが、アーシェが魔法使いであることを知るや、ハンスは恐れるどころか、彼女に結婚を申し込んできた……。
彼は敵なのか、味方なのか。ハンスの存在が、ネロとアーシェの間にある変化を引き起こす。
外の世界に出たアーシェが直面するのは、人と自然の優しさと残酷さ、そして、自分が世界に嫌われる魔女であるという現実……。
世界を敵に回した少年と少女の、寄る辺なき旅の物語第2弾。
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。