RIGHT×LIGHT10~たゆたう方舟と泣かない英雄~

既刊(1-16巻)

RIGHT×LIGHT10~たゆたう方舟と泣かない英雄~

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620
魔狼消失!? ケースケ絶体絶命の危機!! 瞼を開いた僕の視界は、少女の顔に占領されていた。肩まで切りそろえられた黒い髪。陶器のような白い肌。僕のよく知る女の子。 「未由?」 名前を呼ぼうとして、声が出せないことに気づく。僕の口は未由の唇に塞がれていた。 「よかった。起きてくれた」 唇を触れ合せながら呟く未由。その彼女の口元から赤い雫が伝う。瞳からは涙が零れる。 「未由、いったい何を……」 問いかけると、彼女はその表情に暗い影を宿しながら、少しずつ僕の傍から遠ざかった。背後に見えた景色は――動かない雲。張り付いた空、どこまでも続く白い砂浜。僕はここでずいぶん長い間気を失っていたらしい。 「啓介くんがすごく苦しそうで……全然目を覚ましてくれなくて……腕も、そんな状態で……見てられなくて……」 未由は震える声で言った。そして僕はひとつだけ「現実」を把握する。もう無いんだ。僕の――≪魔狼≫は。僕はもう「英雄」ではないんだ。途方にくれながら、未由とふたりきり、僕はその奇妙な世界のなかをとぼとぼとさまよい歩く。あてどなくその世界――アリッサの故郷である≪方舟≫の内部を、未由とふたりで歩き続けた。 ケースケ絶体絶命の第十巻。 ※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。
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あらすじ

魔狼消失!? ケースケ絶体絶命の危機!! 瞼を開いた僕の視界は、少女の顔に占領されていた。肩まで切りそろえられた黒い髪。陶器のような白い肌。僕のよく知る女の子。 「未由?」 名前を呼ぼうとして、声が出せないことに気づく。僕の口は未由の唇に塞がれていた。 「よかった。起きてくれた」 唇を触れ合せながら呟く未由。その彼女の口元から赤い雫が伝う。瞳からは涙が零れる。 「未由、いったい何を……」 問いかけると、彼女はその表情に暗い影を宿しながら、少しずつ僕の傍から遠ざかった。背後に見えた景色は――動かない雲。張り付いた空、どこまでも続く白い砂浜。僕はここでずいぶん長い間気を失っていたらしい。 「啓介くんがすごく苦しそうで……全然目を覚ましてくれなくて……腕も、そんな状態で……見てられなくて……」 未由は震える声で言った。そして僕はひとつだけ「現実」を把握する。もう無いんだ。僕の――≪魔狼≫は。僕はもう「英雄」ではないんだ。途方にくれながら、未由とふたりきり、僕はその奇妙な世界のなかをとぼとぼとさまよい歩く。あてどなくその世界――アリッサの故郷である≪方舟≫の内部を、未由とふたりで歩き続けた。 ケースケ絶体絶命の第十巻。 ※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。

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