加速する魔法少女の恋心。決められない僕。
二学期から転入してきたアリッサも学生鞄にだいぶ馴染んできた9月下旬。放課後、黒板に書かれた文字をアリッサが凝視し、僕に体を寄せて囁く。「ねえねえ、ケースケ。サンヨウサイって何? 面白そうね」“傘陽祭”とは傘陽学園の学園祭。そろそろクラスの出し物を決めなければいけない時期にさしかかっていた。さまざまなアイディアが出されたなかで、アリッサの目を引いたのは「プラネタリウム」。「星空を創れるの? あたしプラネタリウム見てみたい!」教室中に響きわたったその願いの声が届くかのように、圧倒的多数の票を集めて出し物はプラネタリウムに決定した。「ケースケのおかげ。あたしは心からそう信じてるわよ?」アリッサは笑う。「だって好きな人のことを信じるのは、当たり前でしょ?」さらに突然、そう問われて、僕は戸惑い、目を逸らしてしまう―――。近頃アリッサは、こんな台詞を唐突に言う。僕の心拍数を跳ね上げる「好き」を繰り返す。これはきちんと答えを返さなければいけない「好き」だ。でも僕はまだ返事をする言葉が見つけられない。もう一人、僕に同じ気持ちの言葉をくれた人――友月未由がいるから……。
世界破局的大展開の魔法物語第9巻!
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。