それでは、旅の終焉を始めよう。
才能は必ずしも発揮しなければいけないわけではない。
爆弾を作る天賦の才があったとしても、爆弾を作れば誰かが傷つくだろう。
人を殺す才能があったとしても、人を殺していいわけでもないはずだ。
なのに、僕は人殺しを選んだ。その時点で、誰が何と言おうと許されない。
罪は背負うと決めていた。その先に何が待っているかも理解していた。
それでも、ケモノを狩るためにケモノガリと成り果てた。
悪を狩るために、悪を許容することを選んだのだ。
正義ではない。正義を掲げるほどに、己の手が綺麗なはずはない。
だが全くもって躊躇いはない。あるのは幾許かの恐怖と高揚感。
様々な苦難を乗り越え、結末が、やっと見えてきた。
決着をつけよう、同じ才を持ちながら異なる道を選んだ者よ。
赤神楼樹は、最後の戦いに挑む。
アスライアとの最終決戦を控えた楼樹は家族の記憶を、友人の記憶を忘れ、人間らしさを捨てていく。そうやって殺すことだけに特化した存在になりながら、楼樹は決死の戦いへと歩を進める――。
殺人の才能をもつ少年の物語、ここに終幕! 興奮必死の終焉を見よ!!
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。