「パイプのけむり」のアンソロジー第2弾!
「或る晩、横須賀線の下りの終電車で逢った親しい英国人のルイス・ブッシュが、シェトランド島に行って来た。何も無い北大西洋の孤島なんだ、でも何だか素晴らしい島だった。君も行ってみないか、と言ったのがこの島と僕との関係の始まりだった」(『再訪』より)。ダンディで知られる作曲家は1年の内、4ケ月が海外、2ケ月が国内の旅という日々を過ごしていた。テヘランでは手裏剣のショーに人生を考え(『ある記憶』)、オランダでは鰻の出自に思いを馳せ(『オランダの鰻』)、ナポリではブオーノなる謎の果実を賞味して(『ブオーノ』)……。豊饒なる旅の足跡。