傷つけられた妻を見ても、夫のパトリックは動揺することなく、拘束されてもまったく抵抗しなかった。なんの感情も宿さない彼の瞳に、ラファエルは嫌悪感とともに底知れぬ恐怖を覚える。拘束を解くことを条件に逃亡に手を貸すという提案にのり、ラファエルはパトリックに誘われて別棟に足を踏み入れる。だがそこには、手足を縛られ、猿ぐつわをされたふたりの少女が床に転がされていた。呆気にとられたラファエルに、パトリックのバットが襲いかかる。何度も何度も何度も殴打され、ラファエルの鼻はひしゃげ、骨は砕けた……。村はずれに建つその屋敷は、理想的な隠れ家だった。いたいけな少女をさらい、その肉を噛み、血を啜り、亡骸に唾するサイコパス――パトリックにとっては。ささやかな希望さえ絶望が塗りつぶす、悪夢のような惨劇に終わりはくるのか?