「ガチ怖」と言えば久田樹生と言われて久しいが、そもそも「ガチ怖」とは一体何をさすのか。本気で震えあがる怖い話、長くて読み応えのあるどっしりとした怪談、それらを意味するのは勿論だが、その根底には「話そのものがガチである」というのが大前提としてあるのではあるまいか。つまり、「本当に起きた話で、リアルである」ということだ。それゆえに「ガチで怖い」のだ。無論、実話怪談と名のるものが「本当にあった話」であることは当然のお約束であるわけだが、久田樹生の場合は又聞きや電話やメールで話を聞いたという曖昧さが一切ない。すべて、足を運び、本人から直接目を見て話を聞くというスタイルから成り立っている。それこそが本物の凄みであるのは、本書を一読されればご理解いただけることと思う。まさに魂を削って事実を伝えている。その血生臭い香りをぜひご堪能あれ。