人間はどこから来て、どこへゆくのか?この古くて新しい問いに答えようとする新たなる名著が誕生した。著者はいう。並はずれた種である人類は、いま超生命体になりつつある、と。その超生命体=ホモ・オムニス(集合性人類)とは何者なのか? 本書は宇宙の誕生から説き起こし、人類という種がいかにして自分たちを変え、自然との関係を変えてきたかを語りつくす。その語り口は、自然科学と人文科学が融合した、現代ならでは知見を縦横無尽に往来する、ビッグ・サイエンスにしてビッグ・ヒストリーといえる。人間をここまで変えてきた進化、なかんずく文化の進化がいかになされたのか。著者は4つの要素がそれを推し進めたのだという。火。言葉。美。時間。火を使うことは、人間の利用可能なエネルギーを飛躍的に増大させ、わたしたちを生物的な限界から解き放った。言葉という情報こそが、複雑な文化的知識を正確に伝え、わたしたちを協力させることを可能にした。美が、わたしたちの活動に意味をもたらし、共通のアイデンティティで融合させ、大規模な社会をつくりあげた。そして時間が、世界を客観的・合理的に説明する方法の基盤となり、わたしたちの科学をここまでにした。この4つの要素と人類の物語は新鮮な驚きに満ち、今まで気づかなかった人間観を与えてくれる。そして、生物進化を超えた文化進化の先には「超人類」の姿が見えてくる……。2020年の英国王立協会(世界最古のもっとも権威ある学会)サイエンス・ブック賞最終候補作。科学本の垣根を超え、知的刺激を求めるあらゆる読者に贈る、待望の邦訳。