大和から遠く離れた地に生まれ異例の形で即位した天皇。そしてその死も深い闇に包まれている。現代天皇家の祖はどんな人物なのか武烈天皇が跡継ぎを残さずに死んだあと、畿内を遠く離れた近江・越前を拠点とし、「応神天皇五世の孫」と称する人物が即位した。継体天皇である。この天皇にまつわるさまざまな謎―血統・即位の事情、蘇我・物部・葛城などの大氏族との関係、治世中に起きた「筑紫君磐井の乱」との関わり、「百済本記」に記録された奇怪な崩御のありさまなどを徹底的に追究し、さらに中世の皇位継承にその存在があたえた影響までをも考察した、歴史ファン必読の傑作。目次はじめに第一章 継体新王朝説第二章 継体出現前史――雄略天皇、飯豊女王の時代第三章 継体天皇と王位継承第四章 継体天皇の即位と大和定着第五章 磐井の乱――地方豪族との対決第六章 辛亥の変――二朝並立はあったのか終章 中世以降の継体天皇観あとがき