亜相の丹兵衛と呼ばれ、東海道の宿を荒し廻る極悪非道な賊が江戸に。盗賊の凶行と機を一にした謎の旅芸人一座による御法度の「曽根崎心中」で模倣の心中事件が続発の上、不思議な「くの一狐」も出没。鶴岡藩の大殿白雲斎老中の頃、東海道を荒し廻る盗賊一味がいた。遠江国見附宿を拠点に東は武蔵国川崎宿、西は近江国大津宿に至る東海道五十三次の宿場で極悪非道な盗みを続けていた。手始めは八年前、大津宿の呉服屋への押込みであった。この亜相の丹兵衛一味の暗躍と機を一にして、謎の旅芸人一座による「曽根崎心中」が人気を博し……。盗賊一味はその後……。