「オール讀物」新人賞受賞作「姉といもうと」を含む傑作短篇集。幸田文の『流れる』に憧れる家政婦の姉と、指がないが活動的でラブホテル受付をする妹。つぶれたスナックの女性店員たちが開いた競馬場での同窓会。職人気質のクリーニング店主と常識外れの若い女性客。駐車場の猫に餌をあげている布団屋の妻と、“役者のような美男子”の夫……。おもわずほほえんでしまうユーモア。人間観察からあふれでる、生きることへの“姿勢の良さ”がにじみ出る。解説・森絵都「どんな個性も大らかなユーモアをもって包みこむことで、マイナスをもプラスに転化させる。これぞ嶋津マジックだろう」何気ないやりとりから生れる違和感がクセになる、オリジナリティ溢れる全7篇。※この電子書籍は2019年9月に文藝春秋より刊行された単行本『スナック墓場』の文庫版を底本としています。文庫化にあたり、改題しました。