あらすじ小説という虚構の世界に人間の真実を宿らせるには、どうすればいいのか。物語を解体した。言葉に疑念をはさんだ。そして、いつしか「おはよう」という挨拶すら容易に口にはできなくなっていた――故立原正秋氏らに才能を評価されながら、著者は郷里に帰り十数年余、研鑽を重ねた。古代中国の世界を描く以前の初期作品を厳選し、デビュー十年を機に刊行する。