あらすじ地方の一山村に生れ育ち、陛下の勇敢な兵士として死をえらびえた筈の、あの戦争に間に合うことが出来なかった一人の野心的な青年が、やがて都会に出て、外面的には社会的な成功を充分にかちえていながらも、その内面においては、限りない絶望感と失落感にさいなまれざるを得ない、言わば現代の「赤と黒」的な主題を中心に、戦後世代に共通する体験を描出する、半自叙伝的小説。