あらすじ画期的な解釈と設定で、忠臣蔵小説の最高峰と讃えられ続ける名作。上巻では、元禄太平の時勢に勃発した浅野内匠頭の刃傷事件から、仇討ちに怯える上杉・吉良側の困惑、茶屋遊びにふける内蔵助の境地が、人情の機微に踏み込む文体で、時代相のひろやかな展望のもとに描き上げられる。虚無的な浪人堀田隼人、怪盗蜘蛛の陣十郎、謎の女お仙らの暗躍がからみ、物語は佳境へと突き進む。