将軍実父の威いを背に、新任老中を操りながら経世家・高峰薫堂は……。将軍家斉も頭の上がらぬ実父一橋治済に気に入られ二十八歳の老中を誕生させいまや「闇老中」と呼ばれて誰も意見を言えぬ存在に!横手藩の若き留守居役・椿平九郎の許に今市藩勘定方の竹本弥次郎が藩札の発行について指南を求めてきたのは二カ月前だが、その切腹の報がもたらされた。公儀よりの印旛沼手伝い普請の内命を受け藩札発行を準備したものの藩札新規発行ならずとされ、自刃したという。背後に、将軍の実父の力を受け、闇老中と呼ばれる経世家・高峰薫堂と新任老中大曽根甲斐守の企みが……。