欲無ければ一切足り 求むるあれば萬事窮す 良寛政をなすの著眼は情の一字にあり 佐藤一斎90年代には総理大臣も務め、現在は陶芸や日本画を描く芸術家として活動している細川護熙氏。これまでの人生を振り返ると多くの言葉が、生きる糧となってきたという。「若いときから本を読んで気に入った章句があると、できるだけメモを取るようにしていた。何度も何度もその章句を読んで心の襞に焼き付けておくことによって、何か問題にぶつかったときに、ハッと悟って、その語録が行動指針となる」(まえがきより)先行きの見えない現代社会の一灯になればと、これまで書き留めてきたノートから自分を創り上げてきた「言葉」を紹介する。聖書やプラトン、道元、良寛から白洲正子や自らの小学校の先生の言葉など全50本。単に章句の紹介に留まらず、自身の経験、政治家時代の体験、細川家に伝わる貴重な史料に残るエピソードなどを交えたエッセイ。