※単行本版には、大迫傑さんが佐久長聖高校時代につけていた練習日誌に着想を得て作られた「ランニングノート」が付きますが、電子書籍版は、「ランニングノート」の記入用ページをPDFでダウンロードしていただくかたちになります。東京オリンピックに向けて、大迫傑は日誌を付け始めた。1月にケニアに行き、当初はオリンピック直前まで標高2400mのイテンで合宿をする予定だった。それが、ケニアのロックダウンにより、アメリカに帰国を余儀なくされる。東京オリンピックまでの5カ月間、ノートには揺れる思いが綴られた。ケニアに行ったのは、様々なノイズから逃れるためだったのに、それがうまくいかない、SNSのストレス、競技以外の悩み……、日誌にはそれらの感情が赤裸々に書き留められている。本書は、その日誌そのものである。この日誌がなぜ読み始めたら止まらないほど面白いのか――。作者が陸上選手だからか? オリンピアンだからか? いや、大迫傑だからだ。この本を読み進めるうちに、大迫傑というカリスマを身近に感じられる一方、尊敬の念は高まる。稀代のアスリートが一世一代の戦いの前に残した記録として、後世に語り継がれる書になることも間違いない。8月8日の「決戦」の前に必読の書。でも、誰にでも「決戦」は訪れるはず。いつ読んでも、自分を勇気づけてくれる1冊である。