“色”で江戸の難題、解決します。累計32万部突破「居酒屋ぜんや」シリーズの坂井希久子、文庫オリジナル、新シリーズ始動!江戸時代は、洗練された美意識と、繊細な色彩感覚が頂点に達した時代でした。もしも、江戸にカラーコーディネーターがいたら……?お彩の父親は腕のいい摺師でしたが、火事で視力も、仕事場も失ってしまいます。盲いた父の面倒を見ながら貧乏長屋で暮らしているお彩。婚約者との縁談も流れ、粗末な木綿の着物に身を包んでいますが、お彩には、天性の鋭い色彩感覚があるのでした。そこに目をつけたのが、謎の京男、右近。一本気なお彩に邪険のされながらも、懲りずにまとわりつく右近は、お彩に次々と色に関する難題を持ち込みます。そして、“江戸のカラーコーディネーター”、お彩の活躍が始まります!着物や芸能にも詳しい坂井さんならではのエピソードや、色や柄にまつわる知識も満載。例えば鼠色だけでも、これだけ種類があるのか!と驚かされます。※お彩はお蔦の顔と見比べながら、帳面をめくっていく。白鼠、銀鼠、藤鼠、湊鼠、錆青磁、柳鼠──。(中略)「あっ!」唐突に、記憶の糸が張り詰めた。一枚の錦絵がするすると、脳裏に引き出されてくる。(本文より)※新作菓子の意匠から花魁の仕掛けの図案まで、豊かな色彩溢れる江戸のカラーコーディネーターとして活躍するお彩の人情物語。