先祖の暮らした豊後森藩の地についに降り立った小籐次と息子の駿太郎。地元の美味と、湧き出る豊かな湯、野湯と風景を味わいつつも、特産の明礬を利用して権力を増大する国家老一派と、対抗する一派の不穏な事情を知り、心は晴れない。一方、山中に暮らす刀研ぎの名人「滝の親方」は、小籐次にそっくりだという。もしや赤目一族と繋がりが? そんな中、藩主・久留島通嘉から小籐次に呼び出しが。「明朝、角牟礼山本丸で待つ」――ついに、藩主・久留島通嘉が、江戸から小籐次を連れてきた本当の目的が明かされる。そして、赤目小籐次一家の帰りを待ちわびる江戸の人々も、ある計画を進めていた。『御鑓拝借』から始まった物語が見事ここに完結!巻末付録「森藩・玖珠山中をゆく~その時、小籐次の背中が見えた」を収録。