本書は毎日新聞のキャンペーン報道「優生社会を問う」をベースに、担当した2人の記者が書き下ろしたものです。旧優生保護法が改正されて四半世紀近くが過ぎましたが、障害者への社会の理解は深まったのでしょうか?障害者を取り巻く環境は改善されたのでしょうか?新型出生前診断(NIPT)が拡大するのを利用した数多のクリニックの「検査ビジネス」は急成長中で、「不安ビジネス」として社会問題化しています。障害者施設が建設される際、いまだに周辺住民の反対運動が、最初の大きな壁となります。そして、実の親による障害児の社会的入院、治療拒否……。障害者入所施設・津久井やまゆり園(相模原市)での大量殺人が世間を震撼させている今日、いまだ弱者が切り捨てられるわが国の現状を検証します。