三陸海岸の入り江にある港町「仙河海」。大正十四年にこの地に生まれた菊田守一は、「名船頭」として名を馳せた祖父や父に憧れ、一人前の漁師になることを夢見ていたが、戦争がはじまり、守一が乗っていた船は海軍の徴用船にされてしまう。グラマンの機銃掃射、米軍潜水艦からの攻撃で船は大破し、父は大けがで漁師を引退、兄は海の藻屑と消えたが……。大正~昭和の激動の時代をひたむきに生き抜いた人々と日常を描いた感動巨編!解説・土方正志※この電子書籍は2017年3月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。