剣道三段、抜刀道五段の著者が描く武人の魂。歴史に名を刻んだ剣豪、現代に生きる伝説的な武人の壮絶な技と人生を通じて日本人の武とは何かを考える、著者最後の一冊。歴史に名を刻んだ名剣士と、現代に生きる各流派の伝説的な武人。その壮絶な技量と圧倒的な人生を通して、日本人の武を考え抜く。著者の津本陽氏は、日本を代表する歴史、時代作家であるだけでなく、自ら剣道三段、抜刀道五段の腕前であり、武芸への造詣も大変深い作家。本書には、津本氏本人の剣術修行の様子も詳細に描かれ、氏の「体験的武道入門」ともいえる内容である。われわれの先人がいかに武を磨き、乱世を生き抜いてきたのか。津本氏は、戦中、戦後直後の殺伐とした空気のなかで、日本人の攻撃性は維持されたという。いま、テロに代表されるような「暴力の時代」が、再び訪れようとする予兆がある。武の心得とは何か、と問うときに、本書の持つ意味は大きいはず。[目次]第一話 近藤勇と比肩した男 第二話 永倉新八の竜尾の剣 第三話 明治政府の剣豪 第四話 江戸幕府最後の侍と明治維新 第五話 薩摩隼人と示現流 第六話 龍馬暗殺現場の試斬 第七話 見事の死にざま第八話 柳生新陰流の極意 第九話 大東流・佐川先生の俤 第十話 夜半の素振り