目付総意で選んだのは、老中たちの信頼も篤い、奥右筆組頭だったが…「湯呑み所」での喧嘩騒ぎや、泥酔旗本の水難救出騒ぎ、妻の密通での成敗騒ぎなど、忙殺される目付の膝元で、前代未聞の不祥事が……。一人抜けた目付の後任に、目付全員の総意で選んだのは、奥右筆組頭の牧原佐久三郎。日々御用部屋に出入りし、上方の信頼も篤い牧原は、「切れ者」としてもつとに知られていたので、目付としても期待されていた。新任早々、元の職場である奥右筆方の不祥事に関わることになるが、その後、自らが目安箱により訴えられ、捕縛されてしまう…。目付衆は果たして牧原を救えるか。