下屋敷最寄りの人形町通りで前代未聞の事件。大殿と若侍が謎を解く。江戸じゅうが楽しみに待つ、べったら市と、人形市――。年に一度の「誉れ」の催しを途絶えさせてはならない。悪意の元凶をぶった斬れ!肥後熊本藩五十四万石の元藩主・細川斉茲は、江戸での隠居所とした下屋敷の場所から「浜町様」と呼ばれ親しまれていた。国許から江戸に呼ばれた若侍・窪田和馬は大殿の側に仕えている。江戸での難事件を解決すべく、大殿は謎解き、和馬は探索という二人三脚が始まった。人形町通りを騒がす大事件の発端は、市松人形に起きた『異変』であった…。