追憶の彼方へ去りし“出稼ぎ列車”が蘇る新装版。青森発上り急行「津軽」で発見された男の絞殺死体、消息を絶つ出稼ぎ労働者……。大東京の闇に翻弄される男たちを十津川警部が追う。青森発上り急行「津軽」は別名“出稼ぎ列車”と呼ばれる。午前六時、冬の農閑期に働きに出た男たちを乗せ、定刻に上野に着いた列車から、男の絞殺死体が発見された。湯沢出身の男が、なぜこの列車に乗っていたのか?建設現場から、次々と姿を消してゆく出稼ぎ労働者たち。安否を気づかって上京して来た、その妻まで……。華やかな大都会の死角に仕掛けられた、巧妙な金儲けの罠。闇の手に翻弄される男たちを追う十津川警部の怒りが爆発、相棒の亀井と必死の捜査がはじまる。※この電子書籍は1989年6月に文藝春秋より刊行された文春文庫の新装版です。