やくざが大名になる!?世継ぎ騒動に揺れる美濃恵那藩から影御用。十二歳で大名家を出された若君が十一年ぶりに帰った。長男が急逝したためである。若君は果たして本物なのか。居眠り同心、捨て身の探索。徳川譜代の名門、美濃恵那藩十万石の江戸藩邸から公用方の大浦喜八郎が、北町奉行所から帰途の蔵間源之助に、越中橋の袂で声をかけた。くれぐれも口外無用にと、内密の影御用を依頼してきたのである。元凄腕の筆頭同心で今は居眠り番と揶揄される源之助に、十二歳で大名家を出て十一年ぶりに帰ってきた藩主次男の真贋を探索してほしいというのである。