徳川御三家の水戸藩に、富籤にからむ黒い噂!将軍から影目付に直命。三十五万石の財政は火の車。藩主はやっと十歳の幼君。富籤の感応寺の悪と組んだ勘定奉行らの一派に俊平は、水戸の「婆沙羅若殿」と共闘谷中の感応寺は富籤の寺として名高い。だが正規の富札は一枚一分、庶民には手が出ない。そこで一枚一文の陰富が人気となる。御三家の水戸家は財政が火の車。先々代藩主の庶子・小谷鶴之介は、背に竜の踊る派手な紫の羽二重で街をのし歩く『婆沙羅若殿』。ふとしたことで藩勘定方に「陰富」販売を提案。将軍から直命された影目付・柳生俊平は、まず水戸の婆沙羅若殿に接近……。