今や、押しも押されぬ世界有数の自動車メ-カ-となった日豊自動車。その創設者のひとりである岡田宗介が、死を迎えようとしている。彼は優秀なエンジニアでありながら、役職につくことを拒み続けてきた男だった。何故、彼はそのようにひっそりと生きつづけなければならなかったのか?(第1話)。▼都会の片隅で、少女が瀕死の状態で発見された。身元を偽って生活していたために、彼女の年齢も、住所も、本名さえも、知るものは誰もいない。田舎から東京見物にきた、ただそれだけだったのに、それから2年後、都会に飲まれるように、彼女は死を迎えようとしている…(第2話)。▼津ー井太は妻と一児を持つ平凡なサラリ-マン。最近、郊外にマイホ-ムを建てたばかりだ。だがそこに、突然老女が訪ねてきた。彼女の名前はサチ。父の愛人だった女だ。だが、ボケてきているのか「自分は太の母親だ」と言い張り、家に居座り続ける。そこに津ー井の転勤話が起こって…(第5話)。