「急いで高台へ避難してください」東日本大震災の時、遠藤未希さん(南三陸町職員)は最後まで放送で呼びかけ続け、津波にのまれてしまいました。本書は、彼女の母・美恵子さんの手記です。未希さんの勇気ある行動は「命の呼びかけ」と称賛されました。しかし、その一方で美恵子さんは喪失感に苛まれ続けます。ある日、未希さんの遺品を整理していると、一通の手紙をみつけました。そこに書かれていた一文に勇気づけられ、美恵子さんは決心したのです。娘の遺志を語り継ぐために、民宿「未希の家」を作ろうと――。最愛の娘を失った絶望感にたびたび襲われながらも、母親として魂を再生させていく物語です。[目次]序 章 命の呼びかけ第1章 手がかりを探して第2章 見られなかった花嫁姿第3章 「最期の声」を聞きたい第4章 防災対策庁舎の解体第5章 未希からの手紙第6章 あなたの名前を叫びたい終 章 亡き娘と共に生きる